2017(平成29)年度 本願寺国際センターゼミナール第五回
期 日
2018年3月16日(金) 午後6時~8時
講 師
徳永 一道(とくなが いちどう)(浄土真宗本願寺派 勧学寮頭)
講 題
「浄土真宗の国際化 -聖典翻訳の経験より-」
浄土真宗本願寺派が日本の仏教諸宗の先魁として海外に進出したのは明治22年であった。それは農園の労働力としハワイに移り住んだ日系人の要請に応じてのことだったとされる。その後、アメリカ、カナダ、南米にも進出し、現在では一見それが定着しているかに思えるが、「法義」としての浄土真宗は決して安泰とは言えない。親鸞聖人の思想が純粋に「教え」として受け入れられたヨーロッパにおいても将来性があるかに思えるが、しかしまたこれも前途多難であると言わざるをえない。その理由はどこにあるか?
それは法義を伝えるべき我々の意識が、旧態依然とした発想にとどまっているからではないだろうか。自らが奉じる教えを尊重するあまり、独善的・排他的な発想へと陥り、そこに他との深い溝が生じることは明らかである。
本講義では、日本語の日常表現になった仏教語(ご縁・他力・もったいない・ありがたい等)を例にあげ、英語をはじめとする西洋の言語との根本的な相違を明らかにし、聖典翻訳を行う際に現れ出てくる発想の違い、またそこから生じる翻訳表現の難しさを取りあげ、浄土真宗における法義の国際化・現代化の根底にある問題を明らかにしたい。
どなたでもご聴講いただけますのでどうぞお気軽にお越し下さい