台湾開教地に新拠点2ヶ所設立
この度、「台北法雷念佛会」および「香港本願寺佛学会」の2団体が、新たに台湾開教地に所属する開教拠点となりました。台湾、そして香港において、浄土真宗の国際伝道活動がさらなる広がりをみせています。2つの団体について沿革をご紹介いたします。
「台北法雷念佛会」
1984(昭和59)年の台北において本会の前身となる、浄土教を学ぶグループが結成された。興味を持つ人々が次第に集まるようになり、その中の参加者の1人であった林 正村氏が、2006(平成18)年の終わりごろインターネットを通じて、香港法雷念佛会副会長・本願寺派僧侶であった覚心氏とつながりを持ったことが、本会と浄土真宗本願寺派とを繋ぐきっかけとなった。同氏の紹介によって、2005(平成17)年より台湾の高雄へと移住し伝道活動を行っていた、本願寺派僧侶・野瀬 瑞黙氏と出会うこととなる。2007(平成19)年1月より月に1度、野瀬氏を台北へと招き、常例法座が開かれるようになり、同年10月に「台北法雷念仏会」が正式に結成された。
2013(平成25)年に野瀬氏が往生されると、同氏の遺志を受け継いで法座が続けられた。2016(平成28)年5月、台北市政府に社団法人として登記申請を行い、「台北法雷念佛会」が正式に設立された。同年9月には台北市北門付近の塔城街に活動拠点を定め、現在に至っている。主な活動としては毎週火曜、水曜に法座を行い、毎週土曜には台北市天母での家庭法座、また月1度、台湾の羅東でも法座を開いている。
「香港本願寺佛学会」
香港における本願寺派の伝道の歴史は、「香港出張所」が設立された1900(明治33)年にまでさかのぼる。1940年頃には活動の頂点ともいえる時期を迎えるが、第二次世界大戦における日本敗戦により状況は一気に暗転した。中国に存在していた全ての別院・出張所は放棄され、伝道活動は終息を迎えた。
それから約70年の時を経て、「善人なおもつて往生をとぐ、いはんや悪人をや」の『歎異抄』の一文が香港在住の青年、楊 灝深氏の胸に響いた。親鸞聖人の教えに出会った同氏は、香港の上環を中心として伝道活動を開始。「人は仏法と出会うことにより、おのずから正しい道へと導かれていくはずである」との同氏の信念により、青年層を主なターゲットとし、伝道活動を行ってゆくことの出来る活動拠点の設立を思い立った。
楊氏はさらに浄土真宗の学びを深めるために中央仏教学院へ留学。在学中、戦前の香港における本願寺派の伝道活動について強く興味を示し、香港の地での本願寺派の伝道活動再興を志す。
現在、香港の銅鑼湾に拠点を置き、活動を展開している。中国においては肉食妻帯や寺族による寺院継承など、日本と比較すると僧侶に対する理解の差は大きいものの、薬物依存者やLGBTQなど、社会的弱者に対する積極的なはたらきかけを視野に入れ活動を活発化させている。